「利回り」の数字を疑う。その裏にある、リスクと期待の適切なバランス。

数字は嘘をつきませんが、すべての真実を語るわけでもありません。パーセンテージという記号の向こう側にある、実態を感じ取ること。

2026.01.23
投資

表面上の数字に惑わされない、真の収益性を見極める視点

私たちは、パーセンテージという記号に、想像以上に強く影響を受けます。広告に掲げられた「利回り7%」といった数字は、ときに冷静な判断を鈍らせ、合理的な意思決定を妨げる要因となり得ます。

しかし、知的な投資家にとって、利回りとは単なる「収益の大きさ」を指すものではありません。それは、その案件が内包している「不確実性」や、運営側が背負っている「覚悟」を数値化したものです。

今回は、不動産投資における「利回り」という指標を分解し、その数字の背後に潜む実態を正しく読み解くための視点と手順を整理します。


現状 ―― 利回りの種類と相場を知る

不動産投資の世界には、性質の異なる二つの利回りが存在します。

  • 表面利回り(グロス) : 年間の家賃収入を物件価格で割った単純な数値。広告などで目にするのは、多くの場合こちらです。
  • 実質利回り(ネット) : 家賃収入から管理費、修繕積立金、公租公課などの諸経費を差し引いた、真の収益力を示す数値です。

不動産クラウドファンディングにおいては、あらかじめ運営側が諸経費を計算に入れた「想定利回り」が提示されます。現在の市場相場は、都心であれば3〜5%、地方やリスクの高い案件であれば6〜8%程度が一般的です。この相場から大きく逸脱した数字には、必ずそれ相応の理由——例えば、築年数の古さや、空室リスクの高さ、あるいは運営会社の信用補完の薄さ——が隠されています。


MNYZの視点 ―― 高い利回りは「覚悟」の代償である

MNYZは、高利回りという数字を無条件に歓迎しません。市場原理に照らせば、「高いリターン」とは、投資家が「高い不確実性」を引き受けることへの対価であり、単なる魅力的な数字ではないからです。

4%と8%という利回りの差は、表面的なお得感の違いではありません。その差分は、いわば「安定という安心を手放すためのコスト」と捉えるべきものです。

知的な大人の投資マナーとは、数字の大きさを競うことではなく、提示された利回りが、その物件の立地や構造、将来性と照らして「妥当であるか」を自分の頭で判断することにあります。数字の美しさに惑わされず、その裏側にある「根拠」を冷静に見極める——そこに投資家としての品格が宿ります。


行動指針 ―― 数字の「中身」を精査するために

利回りに踊らされず、納得感のある判断を下すために、以下の3点を意識してください。

  1. 相場から逸脱した数字には、まず「問い」を立てる : なぜこの物件は、平均以上の利回りを出せるのか。その理由は「運営の努力」か、それとも「隠れたリスク」かを確認してください。
  2. 利回りの「中身」である空室リスクを精査する : どんなに高利回りな計画でも、入居者がいなければ絵に描いた餅です。周辺の需給バランスを、一人の生活者の視点で想像してみてください。
  3. 利回り(年利)だけでなく、トータルリターンで考える : 目先の分配金だけでなく、運用の終了時に元本がしっかりと守られるかどうか。出口までを見据えた「完結した物語」として投資を捉えましょう。

数字は嘘をつきませんが、すべての真実を語るわけでもありません。パーセンテージという記号の向こう側にある、実態を感じ取ること。

あなたが今見つめているその「7%」という数字は、あなたの不安を拭い去るものですか?それとも、新たな覚悟を求めるものですか?

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